第2章 新しい朝
「!…ご、ゴメン…シエル…。」
「…!//////」
みるみる真っ赤になっていくシエル。私はシエルを離すと、シエルも私を離した。
「せっ、セバスチャン!!//////」
「はい。」
ニコリと微笑むセバスチャン。
「…スコーンを用意しろ。」
「かしこまりました。」
「…」(冷静だ。)
さっき焦っていたことが嘘みたいだった。
「…」
私は壁にかかっている時計を見た。時刻は6時。
「…出かけてきます。」
「おや、どちらへ?」
「…」
初めてセバスチャンの質問を無視した。
「ナツキ。」
「…」
シエルの問いかけも無視。部屋を出て、玄関へ向かった。ネグリジェのまま。
「ナツキ。ネグリジェのままお出かけですか?」
「…」
「それに、髪の毛も乱れていますよ?」
彼の中で、2人きりの時は、名前を呼び捨てで呼ぶことに決まったらしい。でも、敬語は相変わらず。
「…かまいません。家に戻るんです。」
「なぜです?」
「……やはり、私は殺されるべきです。このような人生を送るなんて…無理です…。」
セバスチャンの方に体も向けず、俯いて話した。背後でセバスチャンの声が聞こえる。
「あなたは何を恐れているのです?」
「!…」
「父親に殺される。それよりももっと恐れていることがあるのではありませんか?」
「っ…。」
「……なんて、私がお聞きしていいことではありませんでしたね。」
「!…」
この人は深く追求してきたりしない。そこが不思議だ。
私は玄関のドアノブに手をかけた。