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お気に入り 【黒執事】

第13章 戻った日常


「っ…。」


多分、このような手紙を何度も送ってきていたのだろう。でも、全て私の目につかないよう、セバスチャンが捨てていたのだろう。


「…会って何を話すって言うの…?」

「おやおや、読んでしまったのですか?」

「わっ…!?」


心臓が飛び出るかと思った。セバスチャンがいつの間にか背後にいたのだ。さすが悪魔。


「没収です。」

「え?」


私から手紙を奪うと、目の前で破った。


「あっ!せ、せっかく頂いたのに、どうして破っちゃうんですか!」

「…あなたはこの方が苦手。と言っていましたよね?わざわざこんな紙切れを取っておく必要は、ないかと思いまして。」

「で、でも…会いたいって…。」

「あなたは、好きでもない、むしろ苦手な男と、仲良くお話でもするつもりですか?」

「っ…し、したくない…ですけど…仲良くしておいた方が…どちらかというと得じゃないですか…。」


俯いてそう言うと、セバスチャンはため息をついた。


「とにかく、こんな人と仲良くする必要はありません。」


そう言い、セバスチャンはお屋敷に戻って行った。私もカゴを持ち、お屋敷に戻った。


「…終わった。」

「ナツキ、話がある。ちょっと来い。」

「…?はい。」


シエルに呼び出され、書斎に向かった。メイリンがいなかった。


「お話って…?」

「…しばらく、アンダーテイカーには会うな。」

「え…どうして?」

「アイツのせいでどれだけ振り回されたことか…。もう二度と魂を抜かれるなど御免だ。」

「…でもそれは…出来ない…。」

「なぜだ?」

「…」


なぜ。と言われると、特に理由はないが、私とあの人は、切っても切れない縁な気がするのだ。
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