第12章 新しい人生
「おや…?」
「!…」(えっと…この人は……確かシエルの執事の…セバスチャンさん…。)
「偶然ですね、お買い物ですか?」
「え…あ…ちょっと…散歩にでも行こうかな…って思って…。」
あいにくお金も持っていないし、手ぶら。
「…」
「…?」
何か考えている様子だった。
「それでは、お屋敷にお越しいただけませんか?」
「え…?」
「あいにく、坊ちゃんはお仕事でお忙しいのですが、ぜひ私に、おもてなしをさせてください。」
「…」
特に行くあてもなかったため、ついて行ってしまった。
「お、お邪魔します…?」
「…」
「あっ!ナツキ、おかえりなさい!」
「どこ行ってたんだよ、心配したんだぜ?」
「お、おお…おかえりなさいですだ!」
「!?…」
3人の人達が私を囲んだ。全然知らない人達だった。
「こらこら。お客様に向かってその態度はなんですか。」
「へ?」
「お客様?」
「…ちょっと来なさい。」
セバスチャンは3人の人達を連れて行った。
「し、失礼いたしましただ!!」
しばらくして戻ってきた4人。
「それでは行きましょうか。」
「…はい…。」(なんだったんだろう…。)
シエルが雇っている使用人の人達だろうか。
「…」
単純に、凄いな。と思った。全焼していたお屋敷が、綺麗に戻っているのだから。
「…」
「お待たせいたしました。」
「!…」
「レモンとハーブのタルトをお持ちいたしました。」
席に座って待っていると、セバスチャンがワゴンにおやつを乗せて運んできてくれた。