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お気に入り 【黒執事】

第12章 新しい人生


次の日…。


「…」

「おや?起きたかい?」

「…ん…。」

「もうお昼だよ~?」


あのあと、一言も言葉を発さずに帰ったシエル。相当怒っていた。


「…アンダーテイカー。」

「ん~?」

「…その…魂…を…戻す前の私は…どんな感じだった…?」

「う~ん…どんな……そうだねぇ…とても可愛らしい子だったよ?もちろん、今も充分、可愛らしいけどねぇ~?」


そう言い、ソファーに座り、私を膝の上に乗せ、正面から抱きしめた。


「…私は、シエルに笑っていてほしい。」

「…」

「シエルは…ヴィンセントがいなくなってから…あまり笑わなくなっちゃったの…。」

「…ナツキは、伯爵のことが好きかい?」

「うん。」

「それじゃあ…。」

「!…」


アンダーテイカーは私を見つめた。


「…伯爵と小生、どっちの方が好き?」

「え…。」


前髪で隠れていて見えない目。でも、見つめられているのはわかる。


「…そ…それは…。」

「小生は、ナツキのことが好きだよ。凄く好き。人間が言う家族なんていう表現じゃ、言い表せないくらい大切に思っているんだよ~?」

「!…」

「ん~?」


試すように首をかしげ、顔を少しだけ近づけてきたアンダーテイカー。


「っ…で、出かけてくる…!」


恥ずかしくなり、膝の上から降りると、私は葬儀屋を飛び出した。


「はぁ~…。」


歩きながらため息をついた。
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