第12章 新しい人生
初めてアンダーテイカーが怖いと思った。
「君は、自分の過去を知りたいんだろう?」
「!…う、うん…。」
「だったら、君の魂を返すのが良いと思ったんだよ。」
「返したら…何かなるの?」
「その時の記憶が蘇る。君の過去を全部知ることが出来る。」
どうしていきなり…?知られたくなさそうだったのに。
「…どう…すればいいの?」
「ん〜?そのまま、目を瞑ってくれるかい?」
「うん…。でも…今までの記憶は?セバスチャンと会ったこととか…。」
「……それは…全て消えてしまうよ?」
「!…」
「今までの君の記憶はリセット。君がヘンリー家の……ん〜と、誰だっけっかなぁ〜?あぁ、そうそう、カミル?だっけっかなぁ?そいつに殺される前の記憶が蘇るだけ。」
「…」
「それでも、過去を知りたいと思うかい?」
「……それは…。」
今まで関わってきた、セバスチャンやメイリン、フィニやバルドの記憶が消えてしまう。それが、残酷な記憶に変わってしまう。
「…うん、やる。」
「ヒヒヒッ!!そうかい。じゃあ、目を閉じて。」
「うん。」
そのあとは、もう覚えていない。
私は過去と引き換えに、今までの記憶を消し去ってしまったのだった。