第10章 逢瀬と不穏な影
ある日、謙信の部屋に、
葵は訪れていた。
謙信「今何と言った?」
葵「ですから城下に買い物に出かける許可を・・・」
謙信「・・・買い物か」
謙信はしばし考え込んだ後・・・
謙信「俺とともに出かけるというのなら許可しよう」
葵「!!」
謙信の言葉に葵は目を見開く。
謙信「どうした?嫌なら買い物は許可しない。
家臣か女中に買いに行かせるだけだが?」
葵「いえその・・・
デートみたいだなと思ったもので」
謙信「でえととはなんだ?」
葵「いえこちらの話ですので」
謙信「言え、でえととはなんだ」
葵「えっとその・・・
五百年後の世界の言葉で・・・
恋人同士とか好きあっている男女の・・・
逢瀬のことです・・・」
葵はたどたどしくデートについて、
謙信に告げる。
今度は謙信が目を見開いた。
だがすぐににやりと笑みを浮かべる。
謙信「そうかそれがでえとか。
ならばでえととやらに行くぞ」
葵「は・・・はい」
謙信は楽しそうに葵に命令をする。