第7章 異変
信玄「気に入らない・・・ね・・・」
そういえば何であの子は、
お前にこだわるんだろうな・・・?」
信玄は、謙信をからかうのをやめ、
ふいに真面目な口調で聞く。
謙信「それは試験の相手が俺だからだろう?」
信玄「本当にそれだけなのか?」
謙信「何が言いたい?」
信玄「いや別にお前でなくても、
試験っていうなら、
普通次の機会があるものじゃないか?」
謙信「・・・・・・そういえば確かに妙だな」
信玄の言葉に、謙信も不思議に思う。
謙信「(葵の態度は、
たしかに試験達成を望んでいるようだが、
一発勝負だから達成しないと、
という必死さは感じられなかった。
だが一度きりでないのなら、
俺にこだわりあのような、
賭けを持ち出す必要はなかったはずだ)」
信玄「お前でなくては、
ダメな理由があるとしたら・・・?」
謙信「(なんだ・・・この嫌な胸騒ぎは・・・
俺は何かを見落としたのか・・・
あの女に一体何がある・・・?)」
謙信がそんなことを考えているときだった。
??「申し訳ありません。至急の連絡を申し上げます」
ひとりの家臣が慌てて二人のもとにやってきた。
謙信「なんだ、騒々しい」
??「葵様がお倒れになりました!!」
二人「!?」
家臣の言葉に二人は驚愕する。
謙信の手から持っていた盃が落ち、
酒が床にこぼれる。
ついに事件は起こった。