第19章 死が二人を分かつまで ※R-18
謙信「・・・気を失ったか・・・
まあいい。これからはいつでも愛せるからな」
謙信は仕方ないとでもいうように、
気を失った愛しき女の頭を優しくなでる。
ずるりとモノと葵の尻尾を、
それぞれの穴から引き抜き、
ゆっくりと葵を、
起こさないように、褥の上に寝かす。
謙信本人は着物を羽織ると、どこかに出かける。
やがて謙信はあるものを持って戻ってくる。
その手には一つの髪飾りが握られていた。
白と水色の二色の羽が使われたその髪飾りを、
謙信は愛しそうに眺め、
そして褥の上で眠る葵に視線をうつす。
謙信「目を覚まし、これを見たらお前は何というだろうな」
その髪飾りを文机の上におくと、
謙信自身も葵の横で眠りについた。
翌朝、目を覚ました謙信は、
葵にその髪飾りを渡す。
葵は目を見開いたが、
やがて嬉しそうな顔をし、その贈り物を髪につけた。
謙信もそんな彼女を愛し気に見つめるのだった。