第116章 真実と嘘

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「イルミさん何って言ってました？！」


「ん～……仕事が少し長引くかもしれないってさ」


「…………え…………そう……ですか……」


「…………残念だけど……彼が帰るまでボクが沙夜子の傍に居るから、あんまり悲しい顔しないで……ね？♥️」


「………はい、ありがとうございます！」



私は少し無理矢理に笑った


ヒソカさんが何故か私と同じ様に悲しそうに見えたからだ


何がと言われても解らないけれど黄金色の美しい瞳がほんの一瞬陰って見えた気がした


ヒソカさんは聞き上手の話し上手


つまり他人の立場に立って発言する洞察力に長けた人だと私は思う


以前から私と彼を応援してくれている唯一無二の友人だし、私の寂しい気持ちを察してくれたのかもしれない


……………命まで救って貰った挙げ句心配ばかり掛けてはいられない……



「綺麗な所ですね！」



笑顔を浮かべながらも彼を想い無意識に指先でなぞった指輪



…………大丈夫………彼はきっと帰って来る…………

廃教会で過ごしたあの日、私は確かに彼に人生を託した

無機質な彼の瞳に真剣味が宿り真っ直ぐに投げ掛けられた声を思い出す

生真面目で慎重な彼が下した決断は生半可な物では決して無い

誰よりも彼の素顔を見ている私が信じずに誰が彼を信じると言うのだ

押し潰されてしまいそうに胸に広がる不安と心配


彼の迎えが何時に成るのかは解らないけれど………


だけど私は此所で待っていようと思う

彼の決断に着いて行こうと決めたのだから