ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第20章 異世界の山
しかしそんな緊張とは裏腹に路地を抜けた先の景色に私は小さく歓声を上げた
目前に広がるのは活気溢れる平和な雰囲気の大通り
私は案外五感が鋭いかもしれない……なんて思いつつも
私はその街並みに目を奪われていた
沢山のカラフルなパラソル、オシャレなオープンカフェ、石畳の歩道に馬車が走り
レンガ造りの建物には所狭しと露店が軒を連ねていた
よくよく見てみればレトロなガス灯は可愛く街を飾り
まるで中世ヨーロッパにでもタイムスリップした気分だ
そんな街を明るく照らす太陽を仰ぎ見る
確か此方に来る頃私の世界は夜だったがどうやら私達の世界の昼夜は反対らしい
なんてそんな事は今の私にはどうだって良く
レトロで美しい街並みに不安は何処へ消えたのか今の私に効果音を付けるならワクワクと大きく出ているだろう
ヨーロッパに行った事は無いので実際には解らないがテーマパークの中にでもいるかの様な錯覚をする
テーマパークよりヨーロッパよりもっと凄い場所に立っている自身を滅茶苦茶凄いんじゃないかと思ったりして暫くぼんやりしてしまった
「…………あかんあかん……」
目的が迷子に成っていたが私は先生に聞いた助言通りバーを探す事が先決だと考えている
馬鹿な上にテンパってしまっては忘れてしまうかもしれないと油性ペンで手にしっかり「ジャッカル」と書いていた
消えてしまえば同じだがそれは考えない事にして文字が消える前にバーに到着する事をとりあえずの目標とした