ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第13章 想いを馳せる3ヶ月
元の世界に戻って3ヶ月が過ぎた
毎日仕事に明け暮れてオフは作っていない
会いたい触れたい人物が居ない世界は全てが光を失い退屈な物に成り下がる
………まぁ元々この世界に光なんて無いけれど
そんな世界で時間をもて余し彼女へ身を焦がすくらいならば血濡れた現場へ出向く方が良い
血生臭い今の自分を見て彼女は何を思うだろう
その瞳に恐怖を映し自身に笑いかけてはくれないだろう……なんて
僅かな隙間にも彼女は入り込み胸はズキズキと痛むのだ
「で、依頼は」
「………あぁ。ある収集家の宝を盗みたいんだがボディーガードの数が多くてな」
裸にファーのコート、オールバックの男
良き顧客の一人、クロロ
「今回は無料奉仕で頼む。約束は覚えてるだろ?」
「………あぁ解ってる。」
異世界への道を俺に教えた張本人
異世界へ身を隠す代わりに次回の依頼は無料奉仕という交換条件だった
正直会いたくは無かった
彼女と行った沖縄旅行にこの男も着いてきていたし、自身の誕生日を祝う席にもこの男は顔を出した
嫌がおうにも彼女の面影がちらついてこんな男を見てなんてうんざりする
「………おい聞いてるのか?」
「……何か言った?」
「珍しいなお前がぼんやりするなんて」
「そう?」
「地図だ」
手渡された紙に目を通す
また混んだ造りの建物でこの中に約100人のボディーガードを詰め込んでいるなんて馬鹿かと思う