ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第12章 只眠る1ヶ月
気付いていないふりをしてランダムに針を投げわざと鈍い角度をずらして投げる事でターゲットに余裕を持たせる
適度に斬撃にも当たり血を流せば正に互角の演出が完成する
息を上がらせるターゲット
少々動きが鈍り始めた
………命の奪い合いに余裕なんて無い
わざと肩で息をしてやればその表情には余裕が滲む
(…………馬鹿な奴)
戦闘において油断は命を落とす
死角の一点を狙って相手の間合いに飛び込んだ
針では確実では無いならば己の身体を使うしかない
殺ってしまうのだから多少オーラが削られようがリスクは然程大きくは無い
一向に距離を詰めなかった俺が間合いに入った事で突然の攻撃パターンの変化が生まれる
頭を回転させている数秒は身体への伝達が遅れて動きがより鈍くなる
俺は手刀で相手の首を切り落とした
(……俺を甘く見て油断するからだよ)
一度打ち負かした相手でも引き分けた相手でも再戦する際は見下しては成らない
基本中の基本だ
前回の経験は知識として生かすがあくまでも予想の範囲に留める事で新たな成長や技にも瞬時に対応出来る
油断なんて何処にも無い
背後で力無く倒れた身体
道端に転がり雨に打たれる表情は驚きと恐怖に満ちていた
「あんまり手こずらせないでよ。」
人は人体と頭が離れても数秒、長くて数分生きている
見下げた頭
こいつのお陰で彼女と出会えたのだと思うとあの時殺れなくて良かった…………なんて暗殺者として失格だ
「君には感謝するよ。」
踏み潰した頭は汚く辺りに体液を撒き散らした