ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第58章 彼と浴室
今まで数回私達は混浴を経験して来ていた
その度に少し妖艶な雰囲気に成っては来たが、今回は訳が違うと気が付いて汗が吹き出した
真っ黒な瞳は真実を語っているのだと私に知らしめる
…………彼は決して冗談で今の台詞を吐いた訳では無いらしい………
「………………」
嫌な訳では無い………只、一斉に緊張が押し寄せる………
更に再び身を結ぶ場所はやはり明るいのか…………
………これは彼の趣味だという線が濃厚だろうか………
なんて緊張から脱したい思考は別の事に考えを展開していたが
力強く引き寄せられて後ろから抱き締められればドキリと心臓は脈打った
温かいお湯よりも熱い彼の体温に身を硬くしていると
「………沙夜子、そんなに緊張しなくても平気だよ……リラックスして。」
耳元に優しい声色が届いた
私の肩に湯を掛けながらも触れるか触れないかの距離で肌を滑った指先は水中で私の手のひらを包んだ
指を絡めて柔らかく手を包み込まれ耳朶には啄む様な口付けが落とされた
ぎゅっと私を引き寄せていた左手は脇腹を辿り
彼の全ての仕草を擽ったく感じて身を捩る
「……イルっ……くすぐったい……」
尚肌を撫でる指先にクスクスと笑みを溢していると
「………沙夜子」
唐突に吹き込まれた吐息交じりの妖艶な声、それと同時に耳穴を攻める様に舌が侵入してゾワリと背中が粟立った
途端に色を変える感覚は先程と同じ刺激を与えられている筈なのに指先の動きに擽ったさはまるで無くなり、もどかしく焦らされている様な感覚に早変わりしていた
彼のたった一声で感じ方が一変し慌てて唇を閉ざす
脇腹を辿っていた指先は段々と背中や腕を辿る様に身体中を動き回るようになっていた
肝心な場所に触れられていないのにどんどんと昂る気持ちはきっと彼を知ってしまったから