ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第33章 のんびりと休日
あんなに強い人物がか弱い女性に殺される………
それはきっとそれだけ主人公が心を許していたからで気を抜いていなかったなら殺される事は無かっただろう
エンドロールが流れる画面を眺めながら考え込む私の隣で
「俺も沙夜子になら殺されるかな」
彼はポツリと呟いた
私に伝えるでも無い独り言に私は
「イルミさんにそんな事しませんっ!」
強く宣言した
何が楽しくて大好きな人を自ら殺めなければならないのか、そもそも理由が無いし絶対にしたくない
やけに響いた私の声に此方を向いた彼はクスリと笑みを落とし
「沙夜子に殺される程弱く無い」
私の頬を優しく撫でるのでドキドキしてしまった
普段無表情の彼が小さく笑うと大きな瞳が細められ印象がガラリと変わる
笑顔は消えた今も心無し穏やかな雰囲気を纏う彼に私迄穏やかな気持ちに成った
「次何のDVDにします?私は楽しい系が良いです!」
「何でも良い。」
テーブルの上に置いてあるDVDの山からコメディータッチのパッケージを選び再生する
物語は双子の青年が学校生活を送りながら色々なトラブルを起こして行くハチャメチャラブコメディーだった
ユーモラスな展開に笑い声を上げていると
「あ。」
彼が何かを思い出した様に声を上げるので隣を見遣る
彼はじっと私を見詰めると
「知ってた?人の死に触れたり自分の命が危機に瀕するとテストステロンの分泌で性欲が高まる。」
唐突に性欲の話しを始めた
「…………は、はぁ………」
映画の内容は一切関係していない彼の言葉、しかも性欲と言う気まずいにも程がある話題に頬が引きつる