ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第30章 好きと温もり
その後シャワーから上がった彼は私を抱き締めたままソファーへ運ぶとそのままぼんやりテレビを見始めた
彼は元々無口だし無表情でミステリアスだが今日の彼は一段と読めない表情を浮かべている
漫画を取ろうと身を乗り出しても彼はぎゅっと私を抱き締めて放してくれない
「……………イルミさん」
「……………ん」
「……………。」
ぼんやりしたままの短い反応
もしかしたら仕事で嫌な事でもあったのかと思った
私と出会った事で多少影響はあった訳で彼は以前より人間味が出て来たのかもしれないし人を殺める事に胸を痛めているのかもしれない………
なんてテレビを見ながら考え込んでいると長い指に顎を掬われ重なる唇
見開いた瞳に彼の視線がぶつかってぎゅっと瞼を閉じると優しく頬を包んだ手のひらの感覚に力が抜けて行く
薄く開かれた唇から彼の舌が私の唇をやんわり割り入って口内に侵入し
やわやわと舌先を絡められれば更に深く絡み取られ奥歯や歯茎が彼の舌になぞられる
もっと深くと求められる様に角度を変えた彼は尚も舌を絡めて時折舌に吸い付いた
息苦さに彼の胸板を叩くがその行動は更に彼を煽り、大きな手が髪をくしゃくしゃにしながら後頭部に回され私の自由を奪った
開いた瞳は薄く伏し目がちに開いた瞳に捕らえられ
何度も何度も角度を変えて舌を絡めた彼はゆっくりと離れるとどちらとも解らない銀色に引いた糸をペロリと舐め上げた
酸素を求めて荒い呼吸を繰り返す私とは裏腹に息ひとつ乱していない彼は再びぎゅっと逞しい腕に私を閉じ込めると
「沙夜子、大好きだよ。」
始めて私に"好き"と告げた