ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第170章 暗闇の中
___________"
「………………え……………?」
暗闇に紛れた人物が誰かも解らぬままに音を鳴らす心臓
「遅い……いつまで待たせるつもり?」
淡白な声が鼓膜を揺らしす頃には私はその胸でワンワンと声を上げて泣いていた
「なんでイルミざんここにい"てるんですかぁ」
ぎゅーっと力一杯抱き付けば大好きな長い髪が涙を拭う様に頬を流れる
ふっと笑う気配がして見上げれば彼はやれやれと溜息を付いた
「だから待ってたんだって。」
「……っ……どうやって……こんな"ん……ズルいじゃないでずかぁ」
先程まで全身に溢れていた悲しみや恐怖が涙と共に流れ出して消えて行く
彼がいつから此処で私を待ってくれていたのかはわからないけれど
然も当然みたいな涼しい顔をした彼はいつもの余裕を漂わせて背中を向ける
「行くよ。」
真っ直ぐに進む背中は間違いなく私の世界へと歩み出して
真っ暗で何も見えなかった道を踏む彼の腕に私はぎゅっと抱き付いた
見上げた彼の横顔はやはり何を考えているのかわからないけれど
私達の進む未来は確かなものなのだと強く感じさせてくれた
扉の隙間から光りが伸びて
懐かしい匂いの風がサラサラと彼の髪を揺らした
完結.
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