第169章 見えない未来

…………ずっとずっと怖かったんだ



私には彼との確かな未来が見えない


苦しくて酷く悲しくて涙は只頬を流れる


………次はいつ会えるのだろう？


彼は私の世界では生きられないと確かに言った

二人で人生を歩んで行こうと私を選んでくれたのも彼だけど


本当に愛しているのならいつかの私みたいに私との時間を選んで欲しい………なんて我が儘だろうか


始めと変わらずやはり私には彼の考えている事がわからない



彼は私に会いに来てくれるのだろうか………

一人きりで時間を埋めて私はいつまで彼を待てば良いのだろう


1年待って彼が現れないままにずっとずっと時ばかりが過ぎてしまったら………？



ずっとずっと待ち続けたとしてまた異世界にやって来る勇気が私にあるだろうか


………次も会える保証なんて何処にもないのに



薬指に光る指輪は幸せな永遠の証の筈なのに


只会う為の約束も出来ないままに全てが曖昧で……私はどうすれば良いのだろう






ぐちゃぐちゃに歪んだ視界と震える手で懸命に日記を破ってペンを取った




『ケガには気を付けてお仕事頑張ってください、大好き！』



彼が私にそうしてくれたみたいに何かを伝えたい………


しかし、未来に繋げる言葉も書けないままにズルズルと身体はゲートに引き寄せられて私は紙切れを手放した



最後の希望が途切れてしまったみたいに床に転がったボールペン



「イル"ミさ、ん………っ」




力一杯踏ん張って荒がってみても無力な事が心底悔しくて悲しくて無我夢中で彼の名を叫んだ