• テキストサイズ

ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第165章 涙と汗が交ざる時







07月13日



昼下がりのリビングルームは壁一面の窓から真夏の太陽が降り注ぎ煌々と白い大理石の床を照らす

それにも負けない空調は自動で室温を一定に保ち私は最早お決まりに成った情報番組に欠伸を漏らした

つい数日前映画を見た翌日から彼は帰って来ない

私はあの日見事に記憶を飛ばし、彼に詳細を尋ねたけれど特に何もなかったとしか返って来ず
膝に残った青アザからそれは無いだろうと確信している


しかし考えても思い出せる訳でも無く彼の変わらない反応から優しさを感じ、勝手に平気だろうと判断して代わり映えの無い優雅な生活を送っている訳だ


すっかり覚えたCMの曲を口ずさみながらぼんやり天井を見上げる



……彼はいつ帰って来るのだろう



沢山の思い出を重ねた月日


私達には時間が無い



本当は片時も離れずに彼の傍にいたいのに一人孤独に待つ時間は無情にも過ぎて行く

彼は生真面目な人だ

ちょっとくらいお休みを取れないものか、なんて我が儘な思考が過るけれど
彼は今までと変わらずきっちり仕事をこなしている


そんな当たり前の事ですら歯痒くて無意味な今この時が辛い


……まぁ私も彼が消えるその日も働いていたし、こんなのは理不尽な考えだと解っているけど寂しさや不安を紛らわす様に無意識に考えてしまうのだ


彼の勤勉な所も好きなのだから随分矛盾しているなぁ……なんて一人考えながらも
メイドさんが届けてくれていた雑誌に手を伸ばした


………ぼんやりしていては身が裂ける様な悲しみが襲う


流れているテレビは孤独を紛らわせるBGMにしてパラパラとページを捲る

所謂女性向けの雑誌をフロントに頼んで購入して貰っていたのだがこういう類いを読むのは随分久しぶりだ


モテコーデや流行りのカラー、大人女性のメイクテクなんて物迄興味をそそる話題に溢れた表紙の通り中身は女性に嬉しい情報が詰まっている





/ 1349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp