第136章 天空の戦い

屈強な男達が殴り合う姿は普段ボクシングも見ない私には過激に映り

飛び散る鼻血に顔をしかめる



あの場所にイルミさんが………なんて思えばソワソワ落ち着かず身体を揺らす

血が出ているというそれだけで痛々しく感じるのに大声で熱狂し人で賭けをする観客の気が知れない…………


なんて改めてカルチャーショックを受けながらも


隣の半個室に気配を感じてチラリと視線を逃がすと

一際派手な男女がやって来ていた



ジャラジャラと悪趣味に身に付けられたアクセサリーや貴金属

大胆に開いたシャツから露骨に覗く胸襟




「ふはは、雑魚共が足掻いてやがる！」


なんて嫌に笑う男から次はリングに視線を逃がす




………………如何にも悪者だ…………




金持ちそうというか何と言うか見た目は派手ながら………上品さの無い粗暴な態度や言葉遣いはベタなまでに悪役感を醸し出していて………


自分ではわりとフレンドリーな人間だと思っている私自身

…………絶っっっっ対に関わらないでおこうと咄嗟に思う程危なそうな人物だった


………人を見た目で判断しては駄目だとかそんな範囲を超えて只息を殺す


悪い人かそうじゃないか判断する前に私の存在に気付かれぬ様に縮こまっていると



歓声と共に現れた彼の姿に馬鹿な私の集中力は一瞬にして向けられ

気が付けば柵に身を乗り出してしまっていた