ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第135章 激しい愛と混乱の渦
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私達は昨夜同様アラビアン仕様の衣装で湖を行く船に揺られていた
特別優待サービスは未だ継続らしく王子様みたいな出で立ちの彼を前にトキメキが止まらない
そして「明日船に乗る」と言った彼の言葉からてっきり手漕ぎボートに乗るのだとばかり思っていたが
手漕ぎは出来ても二周り程大きな船上でまさか朝食を食べるだなんて思っていなかった
テーブルには食べ慣れない羊肉と玉ねぎを合わせて揚げたコロッケの様なものやハモスと呼ばれる異国感満載の豪勢な料理が並び
途端に高鳴る腹の虫が響いた私は空腹をアピールする様にがむしゃらに食事を進めていたのだが
「………そんなにがっつかなくても誰も取らないよ。」
なんて呆れ声に益々恥ずかしく成って手を止める
確かに美しいドレス姿で料理に食らい付く姿は下品な事この上無い…………っ
一方チラリと盗み見た彼は上品な手付きでハモスを頬張り、伏し目がちな涼やかな瞳が潔癖なまでに麗しく
長い髪が纏められている事で見てとれる輪郭の全てが恐ろしいくらいに整っていて
こんなに素敵な男性とテーブルを共にしている事すらも夢の様で
「…………イルミさん」
「ん?」
「今日も素敵過ぎる………っ幸せをありがとうございます」
「……………さっさと食べなよ。」
うっとり漏らした幸福の溜息に彼は淡々と食事を続けた
「はぁ……………好き………」
「………はいはい。」