第1章 リョーマの告白
「俺、アメリカに………………戻る」
芝生を照らしたライトが、大きく弧を描いて闇に消えた。
繰り返していた瞬きが動きを止めて。は自分の目の色がなくなるのを感じた。
(ナ ニ ヲ イ ッ テ イ ル ノ ?)
リョーマの言葉が、そうまるで
悪魔の呪文のように頭の中で繰り返しこだまする。
(ア メ リ カ ニ モ ド ル ノ ?)
今日まで会った回数はたった4回だけれど、表現出来ない愛しさが芽生えていてただ傍にいたかった。
リョーマの仕草も、声も、全て自分のものにしたくて。
抱きたいと言われた、さっきの時間は夢の時間だった。
幸せだった。
「なっ……なんで?ど……して?いっちゃ、やだよ!!」
上げたその顔は、涙で溢れていた。
わがままを気持ちをぶつける。
行かないでと……叫ぶ。
リョーマはにそっと近づいて、顔を覗き込む。
リョーマの顔は、悲しげでも寂しげでもなくて、少しだけ笑っていた。
「俺がいなきゃだめ?」
さっきまで触れ合っていたリョーマの身体には飛び込んだ。
「だめだよ!リョーマくんがいなきゃ…………っ……」
リョーマの着ているシャツを、握り締める。
リョーマの肌を感じる。
リョーマの、温度を感じる。
リョーマの…………呼吸を感じる。
なんで?
どうして?
行かないで……
行かないで……
リョーマは、ふうと大きな溜息をついての背中に手を回した。
「まだまだだね」
声を出して泣いていたの泣き顔は、動きを止めた。
リョーマの次の言葉を待っている。
「……なんで抱きたいって言ったか、聞きたい?」
「……………………」
「とりあえず、が欲しかったから」
は、リョーマを突き飛ばした。
思い切り。力を込めて。
「……なっ!!とりあえずって、なんだっ!!それっ!!」
涙でぐしゃぐしゃになった顔で、叫ぶ。
それを見てリョーマは吹き出した。
「すげー不細工」