第18章 キスの日【降谷夢/警察学校時代】
キスの日?
それを知ったのは松田さんに言われてからだった。
…考えてみたら、日付だけで言うと零とのキスって2回くらい…のはず。
…一日にキスした数が多くて忘れてしまった。
「降谷、知らないと思うから〇〇からしてみたら?」
ヒロくんに言われて…困惑。
私は、零が笑ってくれることが好き。
「…零、困らない?」
「間違いなく喜ぶ」
その言葉に背中を押されて…私は頷いた。
ヒロくんや松田さん達に言われて零が就業後、教室に残って私と二人きり。
明日の課題の話をしながら、いつも通りすぎる雰囲気に私は先が困っていた。
零は、私が望むその先を知らない。
…キスを望んでるなんていう、少し…はしたない先に零に嫌われないかなとぼんやり考える。
零はいつも通りの態度で私に教えてくる。
だから、先の手が震えてるのが自分でもわかりながら…零の頬に触れた。
「…どうかした?」
零が少しだけ困惑した声で。
私は首を横に振り、零に可能な限りの笑顔を向ける。
「…今日、なんの日か知ってる?」
「今日?…誕生日でもないし、〇〇の…何かに記念日?」
忘れてたらごめんと真顔で謝られた。
…零のその言葉に、違うと小さく笑って…スローモーションのようにゆっくり、口付けた。
零は何もせずに動かず私を受け入れて。
「……なに?」
「松田さんから、キスの日って教えてもらった」
「…松田に?」
「からかってただけだよ、……あと、零とキスする言い訳…欲しかった」
恥ずかしい気持ちを抑えてうつむきながら話せば、零は優しく抱きしめてくれて。
「キス、好きだよな」
俺も好きだよと…隠さずに言う零が愛おしくて。
教室で抱きしめあいながらする口づけは、少しの冒涜感を抱かせた。
【fin】