第14章 勝生勇利の助け舟
「お、おはよう」
そう言いながら目を合わせられない私
エレベーターに乗り込むと私達しかいないのにぴったりと横についてくるヴィクトル
流れるように乗り込むと同時に横につき腰をホールドする
ヴィクトルどういうつもり
なんて思っていると
「ヴィクトル この状況で手出すと確実に嫌がられるし最悪嫌われるよ」
と振り向き勝生勇利が忠告してきた
そんな勝生勇利に心の中で拍手を送る
それと同時にしゅんとなり腰に回していた手を自分の腿までおろすヴィクトル
それと同時に開く扉にほらヴィクトルといいながらヴィクトルの腕を取り降りる勝生勇利
気をつかってくれているのが全身から伝わってくる
彼に今こんなことさせちゃいけないのに
これから試合なのにこんな迷惑をかけて
つくづく自分が招いたこの事態に気が滅入る
だがこうしていられるのもここまで
会場に入ったら全て消す
これはスタッフとして私情は持ち込まない。と私がヴィクトルのスタッフ時代に決めたこと。
この間は試合が終わったあとだからあっさり解禁したけど
我ながらに大人げなかった気もする
今思えばあのタイミングで勝生勇利にはバレたのかもしれない
ヴィクトルが好きだって知らないのは勝生勇利のお父さんぐらいか