第17章 波乱のロシア大会
そんな中行われたフリープログラム
緊張が切れたのかみんなに抱きつく勝生勇利
ハグは人の心を癒すと言うけれど勝生勇利にとってヴィクトルは大切な存在なのかと思う
あの指輪についてはなんとも言えない
クリスマスや誕生日位しかプレゼントを送りあったことがない私たち
アクセサリーを送りあったことはない
手袋やマフラー、靴下、ハンカチ形には残るけどアクセサリーのように長い時間は持たない。
特に子供の頃に送った物はもう何も残っていない
勝生勇利が羨ましい
そう思いながら気持ちの整理をするために外へ出る
白い息と刺すような寒さに改めてロシアに帰ってきたことを実感する
ヴィクトル大丈夫かな
灰色がかった夜の空を見上げる
この空は長谷津の空と繋がっている
ヴィっちゃんお願い。頑張って。
そろそろ結果が出る頃と思いそっと戻る
気づくとふっと視界が変わる
気づいたら階段を転げ落ちる
鈍い痛みと視界が揺れる
真っ暗になってそこで私の意識は途絶えた