第9章 夏の夜の *シャーマンキング*
寝転んだ縁側の風鈴が、チリンと鳴った。
「行くだろ?アンナも」
「……そうね。たまには行こうかしら」
そうこなくちゃな。
と、葉が笑いながら起き上がる。何気に振り返ってみると、淡い空色の浴衣を着たアンナが傍で座っていた。
「なぁんだ。最初から行く気だったんじゃねぇか」
素直じゃないなぁ、相変わらず。
なんて微笑ましく思っていると、顔を真っ赤にしたアンナからビンタが飛んできた。
バッチーーーンッッ!!!
「ブフッ!!!」
『よ…ッ、葉殿ぉぉぉ!!!』
「さっさと行くわよ。早くして」
「…は……はい…………」
涙目で左頬を紅葉色に染めながら、アンナの後ろを着いていく葉だった。