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鬼滅隊の兄と、鬼の姉

第9章 それぞれの任務


そして、私はいきなり目隠しをさせられ、抵抗するまもなく数人の隠の人達に抱えられた。

「幸子!?」
「えっえっ!? いっ…いってきまぁす!? お兄ちゃん、お仕事頑張って!!… お姉ちゃん!! お兄ちゃんをお願いねぇぇぇ」

どこまで彼らに聞こえていたか分からないが、私はとりあえず早口でそう言った。私を抱えた途端、隠の人達が走り出したからだ。

「幸子!!!!」

兄の声が遠くに聞こえ、それが段々と遠くなっていく。私はそれに少々寂しさを覚えながらも、大人しく鬼殺隊の本部へと向かうのだった。

━━━━━━━


「…………………………あの、今…どの辺でしょうか??」

私が目隠しをされて約数時間が経過する。そろそろこの体勢がきつくなってきた頃、私はそう彼らに声をかけた。

「お答えできません」

そう隠の1人が言い、私は口を噤む。終わりが見えないものほど窮屈なことはないが、彼らも仕事なのだ。それを邪魔してはいけないと私はこれ以上何も言うことなく目を閉じた。鬼殺隊本部…。まさか最終選別が終わって早々呼び出されるなんて…。だが、遅いくらいだ。私の存在は富岡さんによって報告されていたはず。タイミングをみていた…とか?

「…………あの……」

私は不意に思うことがあり、仕事中の隠の人達に話しかけた。

「なんでしょう?」

隠の1人が律儀に返事をしてくれたので、私はその返事をしてくれた人がいる方へ首を傾けた。

「数年前、鬼の襲撃にあった元炎柱のお宅は…誰かが管理されているのでしょうか?」

「元炎柱…?」

私の問いかけに隠の人達はボソボソと作戦会議をする。そして、しばらく経って

「すみません。我々では少し分かりかねます」

という返答だった。そっか…数年前の出来事だもんね。私はガッカリしながらも、教えてくれた彼らにお礼を言った。

「しかし…その元炎柱の方は分かりませんが、今の炎柱の方ならば承知しております。恐らく本部にいらっしゃると思いますので、その方にお尋ねしてはいかがでしょうか?」

反対方向にいる隠の人の有難い提案に、私は頷いた。

「ありがとうございます。あの…ちなみにその炎柱の方って……」

私の脳裏に激しい炎が浮かぶ。あの時から幾分か時が経っているが……

「はい。炎柱、煉獄杏寿郎殿でいらっしゃいます」
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