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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第3章 初めての巡回-ジユウ-



「立花は?」



「えっと…どれも美味しそうで迷っちゃって…」



「ならオムライスがおすすめ。ここのオムライスがすごく美味いんだ。ちなみに紅茶との組み合わせが最高」



「そうなんですね。じゃあ私はオムライスとアッサムをお願いします」



「かしこまりました」



尾崎さんにオススメされたオムライスはフラマンローズで一番の人気らしい。あと紅茶好きの私にとっては色んな種類があって選ぶのが楽しかった。



「いただきまーす」



「いただきます」



両手を合わせてから料理に手をつけた。



「(ふわふわ、とろとろ…)」



オムライスは真ん中を割るようにしてスプーンで切れ目を入れると、ふわふわの卵がとろりと広がって、デミグラスソースが利いたチキンライスを包んだ。



「(紅茶もいい香り。)」



アッサムは紅茶の中でも濃い味で甘みがあり、芳醇な香りでミルクティーに良く合う。



「(初めて飲んだ紅茶はアッサムだった。)」



薔薇の紋章があしらわれたティーカップを持ち、口をつけて一口飲む。



「(ああ、ちゃんと温かくて美味しい…)」



"彼"が淹れてくれる紅茶も



温かくて優しい味がした



「(でも……)」



今の彼が淹れる紅茶は



水を飲んでいるみたいに味がしない



「(全然、優しくない味だ…)」



だからフラマンローズの紅茶とオムライスは美味しかった。半日歩き回り、気付かない内にかなりお腹が減っていたのもあるのだろう。ついつい口に運んでしまう。



「どう?旨い?」



「とっても!」



「そっか、良かった」



尾崎さんはまるで自分が作ったかのように嬉しげだ。



「ざっと説明はしたと思うけど、何か他に質問とかある?」



「…今のところは大丈夫です」



オムライスも完食し、紅茶も飲み干した。



「さて、みんなもう食い終わったな?そろそろ出るか」



それから、午後も何軒もの書店を回った。その日はあれだけ歩いても結局稀モノは一つも見つからず、収穫がないまま、私の初日は終わりを迎えた。



✤ ✤ ✤


アパートに戻ると作戦室に朱鷺宮さんがいた。



「お!戻ったな!お帰り!どうだった?」



「収穫なし」



「はは、そりゃ残念だったな、お疲れさん」



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