第3章 初めての巡回-ジユウ-
「こうして並ぶと二人は本当の姉妹のように見えるね」
「ツグミちゃんと姉妹…」
「詩遠ちゃんと姉妹…」
お互いに顔を見合わせる。
「ならお姉ちゃんはツグミちゃんだね」
「どうして?」
「しっかりしてるもの」
「それは詩遠ちゃんも同じでしょう?」
「私は抜けてる所があるからなぁ〜。それに…誰かが倒れても、きっと私は怖くて動けない…私は、弱虫だから。」
「(詩遠ちゃん…?)」
「だから私は妹キャラなのです!」
詩遠は一瞬だけ悲しそうな顔をしたが、すぐにパッと明るく笑い、おどけたように言った。
「ふふ、なら妹が悪さをしたらお姉ちゃんは叱らないといけないわね?」
「えー!あんまり怒っちゃヤダよ!?」
「それは詩遠ちゃんが起こした悪さ次第よ」
「うぅ…ツグミちゃん厳しい…」
「ふふ」
ツグミちゃんは可笑しそうに笑う。
「僕は兄妹より恋人を所望するけどね」
「紫鶴さんには聞いてないです」
「こんなに可愛くて素敵な恋人だったら僕は火遊びなんかやめて、ずっと君だけを一途に愛するんだけどな」
「(真に受けない…)」
「おはよう!」
そろそろ紫鶴さんの対処の仕方に困り果てていると、タイミング良く尾崎さんが来た。
「おはようございます。
今日からよろしくお願い致します」
「はは、そんなに畏まらなくていいよ。俺もそろそろ丁寧に喋るの疲れてきた…」
「?あの?尾崎さん?」
「……………」
尾崎さんは驚いた顔をしている。彼のその視線の先は──私の足に向けられていた。
「あ、の…やっぱりストッキングを…」
「……素足」
「え?」
気のせいだろうか。尾崎さんの声が感動しているようにも聞こえた。さっきの紫鶴さんと同じように。
「わぁ…!立花さん、足がとても細いですね!」
少し遅れてやって来た星川さんが笑顔を浮かべた。
「あ、ありがとうございます…。でもあの…仕事に支障をきたす恐れがあるので…やっぱり一度部屋に戻ってストッキングを履いて…」
「「全然!」」
尾崎さんと星川さんの声が重なった。
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