第2章 新しい居場所-フクロウ-
「君は本が好きなのかい?」
「はい。友達の影響で小説を読むようになりました。でも恋愛モノは苦手で…読むのは推理小説が多いですね」
「そうなのかい?てっきり君のようなお嬢さんは恋愛小説を好みそうだけど…。ミステリーの方に興味を惹かれたんだね」
「そ、そんなに恋愛小説を好んで読むように見えますか?」
「ああ。特に汀紫鶴の小説なんか、君は好きそうだと思っていた」
「あの人の書く小説は少し苦手なんです…。ですが本に携わる仕事に就けたことを本当に嬉しく思ってます」
「これから大変だと思うけど無理をせず頑張るんだよ」
「はい」
「さて、私はこれから研究部の方に顔を出さないといけないんだ。じゃあ立花君、これからよろしく頼むよ」
そう言うと隠さんは部屋に戻って行った。
「隠さん…珍しい眼鏡してたな…モノクルって言うんだっけ?」
隠さんが入って行った部屋のドアを見つめながら言う。その時、作戦室の扉が開いた。
「!」
最初に入ってきた黒髪の男性と目が合う。
「「……………」」
驚いた表情でお互い見つめ合ったまま固まる。その数秒の沈黙の後、彼の後ろからひょっこりと現れたのは星川さんだ。
「さっき振りですね、立花さん」
「星川さん!」
やはり彼は穏やかな笑みを向けてくれた。
「…ああ!もしかして立花さん?」
「はい、立花詩遠と申します」
「初めまして、尾崎隼人と言います」
彼、尾崎さんは人当たりの良さそうな顔で笑った。
「二人してさっきの沈黙は何だったんですか?」
私と尾崎さんが沈黙した理由を、星川さんは不思議そうに問いかける。
「綺麗な瞳の色だなって」
「!」
「見惚れてた」
「あ、有難う…ございます…!」
ストレートに褒められ、頬を紅く染めた私は、恥ずかしさを隠すように頭を下げる。
きっと、悪い人ではないのだ。
ただ微塵にも照れずにそんな言葉を口にするので、私はどうしていいか分からなくなる。
「それ僕も思いました。立花さん、凄く綺麗な目の色してますよね。まるで空の色みたいです」
「そ、そこまで褒めて頂けるなんて…」
本当に恥ずかしくて、金の髪に触れる。
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