第19章 決断-ユウキ-
「ねぇねぇ、今朝の新聞見たぁー?」
「……───見ました」
「最近、ボクも色々忙しくてなかなか店を開けられなかったんだけどさぁ、今日はどうしてもあんた達に会いたくて」
「(…嫌味ったらしい顔。)」
「尾鷲がさぁ、すっごくいいこと書いてたよね。帝国図書情報資産管理局なんて能無し集団は直ぐさま解体すべきだって」
「笹乞さん!」
「ボクもさぁ、常々そう思ってたんだよね。だって本当に役に立たないんだもん。鵜飼の息子に続いて、またこんな時間が起きちゃってさーあー?どうするつもり?」
「……………」
「っていうか、よくその制服着て帝都を歩けるよね?ボクだったら無理だな。だって自分達の無能振りを晒してるようなもんだもんねーえ?ボクが名誉毀損で訴えるまでもなかったね。手間が省けて嬉しいよ」
「……………」
「あれぇ?いつもの威勢はどうしたのかな。ほら、ボクに何か言い返してみろよ。それとも、立花宗一郎が警察辞めるかも知れないって知ってショックで落ち込んでるとかぁ?」
「笹乞さん!」
「いいの、翡翠」
「立花さん…」
あの記事にはおじい様が警察職を辞任するかもしれないと云う事と、私が立花宗一郎の孫である事まで書かれていた。
責任は全て立花宗一郎が一人で背負うべきだと批判する奴等がいた。何も知らないくせにおじい様を悪く言う奴を許せなかった。でもおじい様はこの程度の罵詈雑言に屈する人じゃないことを知っている。
だから私がここで、この人の言葉を真に受けて心を折られる訳にはいかないのだ。
「(絶対に、諦めない……───。)」
✤ ✤ ✤
「…おい、あれだよな、帝国図書情報資産管理局。首相の息子の事件もあったってのに、一体何してたんだろうな」
「自殺の次は殺人だろ?刀を振り回して暴れたらしいじゃないか」
「それに、ほら…あいつだろ?立花宗一郎の孫って。能無し集団に所属してるってどんな神経してんだよ」
「じゃあ、あいつのせいで警察辞めるって事か。そりゃとんだ巻き込み事故だな、可哀想に」
「はた迷惑な身内を持つと苦労するな」
「いっそ潰して、その金で警察官を増やした方がいいんじゃないか」
「ついでに新しい警視総監もな!」
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