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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第19章 決断-ユウキ-



「いや、普通におかしいよ。大体そんないきなり俺達に対して府民が攻撃的になるかって。書店のおっさん達ならともかく、俺達が街を歩いてたってフクロウが何か知らなくて、警察と勘違いされたりするくらいなんだぜ?」



「(確かに…)」



「その日本刀を振り回した奴だけじゃなくて、立花達を最初に罵倒したもの仲間だと思う」



「え……!?」



「ただでさえ混乱してるところにそんな言葉を聞かされたら一気に恐怖が煽られて、冷静な判断が出来なくなるだろ。そうやって扇動したんだよ。……この新聞とあわせて、俺達に嫌悪が向くように」



「…そんな…非道い…」



そう口にしたツグミちゃんの言葉を聞きながら、私はナハティガルでのあの男の眼差しを思い出した。



狡猾で容赦がなく、人を人とも思わない。



あの男と同じ、自分勝手で他人の気持ちなんて一切考えない、最低な人。



「こんな記事の後だが、それで巡回を休むわけにはいかない。ただ…また何か仕掛けてくる可能性は十分にある」



「……………」



「隼人は私服に着替えて帝都大へ潜り込んでくれるか。学内でそうそう尻尾を出すとは思えないから、夕方以降の彼の行動を注視しろ」



「お任せ下さい!」



「…立花達も…どうか、気をつけてくれ」



✤ ✤ ✤


その後、ホールに向かった私は受話器を手に、ある人物へと電話を掛ける。



《はい?》



「夜分遅くに申し訳ありません。立花宗一郎はまだいらっしゃいますか?」



《失礼ですが、どちら様でしょうか?》



「立花詩遠と申します」



《あぁ、立花警視総監のお孫様ですね。貴女のお話はお窺いしております。只今内線にお繋げ致しますので、このまま少々お待ち下さい。》



「ありがとうございます」



初めは不審がっていた女性も、おじい様の孫と知るや否や、柔らかな口調になる。



するとすぐに内線に繋がり、私は受話器を少し耳から離す。



《可愛い孫娘よ!元気だったか!》



「…声が大きいです、おじい様」



《わっはっは!スマンスマン!》



深夜だと言うのに相変わらず声の声量が大きく、受話器を離しておいて正解だったと安堵する。



向こうから聞こえる豪快な笑い声に、私は嬉しくなり、自然と口元が緩んだ。



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