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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第18章 漆黒の策謀-アウラ-



「笑ったような…気がしたんです」



「え?」



「最後に…まるで嘲笑するような顔になって。気のせいだと…思いたいのですが…」



「それは…」



「凄く嫌な表情で…」



脳裏を過ったのは、あの男の顔…。



「あいつと…同じ表情を…」



「!」



カタカタと小刻みに体が震え出す。



「立花さん…」



翡翠の心配する声に、はっとする。



「…少なくとも、本からアウラは視えなかったんです。普通の…和綴じ本だったはずです。もちろん、ツグミちゃんにも確かめて貰わないと分かりませんが…危険がないとは断言出来ません。でも、まさか、これも何かの…」



「罠?と言いたいのかな?」



その言葉に、作戦室が水を打ったように静まり返った。



「確かに、厄日にしてはあんまりだ。その前に笹乞書店で見つけたあの稀モノも、黒いアウラらしいね」



「…そうです」



私達が持ち帰ったあの本を、隠さんとツグミちゃんが今、書庫で調べているはずだった。



「あの店からは例の鵜飼君が読んだ稀モノも出ているし、気掛かりではある。それに、帝都大の百舌山教授…」



「僕は彼が怪しいと思います」



不意に、翡翠が険しい表情で割り込んだ。



「星川君…」



「少し前に猿子さんが、カラスの稀モノは薬物を使用して書かせた可能性を示唆されていましたよね。百舌山教授は精神医学が専門のようですが、彼の知識なら…」



「可能性はあるだろうね」



「そんな…」



「人命を尊ぶべき医学者である彼が…そんなことに手を染めているとはとても思いたくないが」



猿子さんの表情は見えない。



けれどどれだけの苦渋を感じているのか、その声音から十分過ぎる程伝わってくる。



「…栞と尾崎君はまだ戻りそうもないな。取り敢えず今夜はお開きにしよう。僕だけで決断は出来ない」




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