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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第18章 漆黒の策謀-アウラ-




「きゃあああ……────!!」



───翌日。



玄関の扉を開けた瞬間、私は自分の目を疑った。



「ど、どうしました!?」



ホールを掃除していた雉子谷さんが駆け寄ってくる。



「おい、何があっ……うわ!?」



そして───私の悲鳴に駆けつけた隼人までもが、その場から動けなくなる。



「これ……」



黒い羽根だった。



アパートの門の前に、無数の漆黒の羽根が散らばっているのだ。



「うあ…あ…っ」



「…っくしょう…悪趣味な奴等だな!!立花!気にするなよ!見なかったことにしろ!」



「おい、どうした?一体何の騒ぎ……な!?」



玄関から出て来た滉が、その場で絶句した。



「(滉……?)」



「……っく……」



今…確かに驚いていた。


ということは滉も知らされていなかった…?



「……滉?」



「……………」



彼は私を一瞬だけ見て、小さく首を振った。
そして何も言わずに中に戻った。



✤ ✤ ✤


「燃やしました全部、跡形もなく綺麗さっぱりと」



「お疲れ様」



「……………」



「はいそこ!もう忘れましょう!」



「そ、そうだね…」



「…やはり、『脅迫』なのか。
まさかあいつの狙いは…」



朱鷺宮さんが独り言のように呟く。



「栞さん?どうか?」



「あ、いや…何でもない」



「そうですか?でも確かに違和感はありますよね。彼女だけが狙いなら一緒に巡回している僕達ごと襲われてもおかしくないですから」



「……………」



滉は黙って翡翠を見ている。



『お嬢さん。気が変わったらいつでも私を訪ねて下さい。……お待ちしていますよ』



「(もしかして…私に自分から来いという意味では…)」



ふとそんな考えが浮かび、瞬く間に冷や汗が滲む。



「(でも、もしそうだとしたら…私が行かない限り、次に一体どんなことをされるか…)」



『残るのはもう…私達だけ。この後、誰が狙われてももうある意味公平だろう』



「あ、あの…あの手紙や今朝の羽根…もしかして、私に自分から来いという意味では…」



「……───それは違うんじゃないか」



「!?」



滉のその言葉に、朱鷺宮さんも驚いたようだった。



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