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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第17章 獲物-キョウハク-



「取り敢えず、私は今からこのことを猿子と話してくる。だが、隼人達には伏せておこう」



「朱鷺宮さん…」



「君が嘘をついているとは思っていないが即断はしにくい」



「…そうですよね。でも、あの…滉は…明日から…どうなりますか」



「…──渦中にいると、見えないかな。本当に彼がカラスの仲間だったとして、だったら何故今まで立花を連れ去らなかったと思う?」



「……!?」



「さっき言ったろう、彼の態度が不自然だと。妙に自虐的かと思えば、カラスに対して強い嫌悪を露わにする」



「あ……っ」



「もしかして……───彼こそが脅迫されている、とか」



その言葉に───昨夜の彼の顔が浮かんだ。



嘲笑うように私を見下ろしていた、あの顔が。彼のあの笑みは、何に向けられたものだったのだろう。



『……仕方ないだろ』



『俺のこの身体には…黒い羽根の刺青が入ってるんだから』



「もちろん、これはまだ推測でしかないし、もっと何か他の理由があるかも知れない。ただ滉に関してはもう少し様子を見る。悪いが私に相談したことは…内緒に」



私は小さく頷いた。



「美沙宕さん達が狙われて、今回関わった部外者はもう総て被害を受けてしまった。残るのはもう…私達だけ。この後、誰が狙われてももうある意味公平だろう」



そう言って朱鷺宮さんは肩を竦めた。



「その出方を見てからでも遅くはない。では私は失礼する。とにかく今は休め」



今夜も眠れないのではないか────そんな不安の中、私は意識を失うように眠りに引き摺り込まれた。ただただ私は眠かった。



目覚めることが、ほんの少し怖かった。



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