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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第17章 獲物-キョウハク-



滉と二人きりではない───安心ではあったけれど、同時に都合の悪さもあった。



「(翡翠がいると…昨夜の話が出来ない…)」



ほんの少しだけ落ち着いた今、問い質したかった。本当にカラスの仲間なのか───私達を裏切っていたのかを。



彼は何も言わない。翡翠はそんな滉をいつものことと思っているようで、巡回そのものは滞りなく進んでいった。



そして7時を回る────。



「今日も見つかりませんでしたね」



「…そうだね」



ここ最近のように時間を過ぎてまで探そう、とは流石に思えなかった。あんなことがあったというのに、滉と二人きりになろうとする自分が滑稽だ。



「(どうしよう…)」



私が滉をこっそりと見遣った時だった。



「お嬢様ー!」



「!」



笑顔で走り寄って来る使用人に、私は驚きを隠せずにいた。



「お久し振りで御座います!まさかこんなところでお嬢様にお会い出来るなんて!」



感動の再会を喜ぶ使用人だったが、翡翠と滉の存在に気付いて、口元に手を当て、わざとらしく驚いた顔をした。



「まあまあ!殿方が二人いらっしゃったのですね!お仕事はそろそろ終わりですか?良かったらご飯でも如何です?」



「あ……」



思わず微妙な顔で翡翠達を見てしまう。



「…あら?何か…まずかったですか?」



「あ、いえいえ!今晩は、僕は帝国図書情報資産管理局の星川翡翠と申します。彼は鴻上滉。全然お邪魔ではないですよ。ただ実は、えーと…一時間後くらいに僕達、用事があって。僕達は外しますんで、是非、お食事をどうぞ」



✤ ✤ ✤



「もしかして誘拐騒動ってまだ続いているんですか?」



「え……?」



「さっきの星川さんという方の誤魔化し方、余りお上手ではありませんでした。…見張り方も、もう少し工夫した方が宜しいですわ」



彼女はそう言って、奥の席に陣取った滉と翡翠をちらりと見た。



「…みんなに迷惑を掛けてしまって…本当に申し訳ない。それに…おじい様にも心配させちゃった」



「お嬢様が謝る事など何もありません。旦那様は確かにお嬢様が何者かに誘拐されそうになったと聞いた時、とても心配しておられましたが、無事だと知らせを受けた時はとても安心しておられたのですよ」



「…そう」



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