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たとえば君が鳥ならば【ニルアド】

第2章 新しい居場所-フクロウ-



「さて、ここが一番の基本!作戦室だ」



「ここが…フクロウの皆さんがいるところ…」



「とは言っても、こっちは毎回巡回に出てるから朝と夜しかいないんだが」



「こっち?」



「紹介がてら秘密の散歩といこう」



少し悪戯っぽく笑んだ朱鷺宮さんのその言葉の意味を、私は5分後に理解した。



✤ ✤ ✤


「こ…ここ、一体…!?」



作戦室の奥に見えた鉄の扉を開けると──そこは果ての見えない石造りの道があった。



「まぁ驚くよな」



「(ちょっと怖いかも…)」



果ての見えない道の奥を見ながら、私は体を恐縮させる。すると不安な顔を浮かべる私を見た朱鷺宮さんが悪戯っぽく笑むと…私の耳元に唇を寄せて──。



「わっ!!」



「ひゃああ!?」



大声で叫んだのだった。



「な、ななな……っ」



「あはは!そんなに驚くとは思わなかった。ちょっと怖がらせ過ぎたかな?」



バクバクと心臓が飛び出る勢いで激しく打つ。私は胸に手を当て、驚いた表情と少し涙を浮かべた目で可笑しそうに笑う朱鷺宮さんを見た。



「い、いきなり何をするんです!?」



「お嬢さんの緊張をほぐしてやろうと思って」



「全然ほぐれません!心臓が止まるかと思ったじゃないですか!」



「安心しろ。心臓は止まってない」



「ええ!こうして生きてますからね!」



「悪かった悪かった。ほんの冗談だったんだ」



「冗談で驚かすのは止めてください…」



私はホラー全般が苦手だ。



元の世界で暮らしていた頃も、仲の良い友達に誘われ、ホラー映画を強引に見せられた事がある。あまりの怖さに具合が悪くなり、途中退出しまったこともあった。



その日からしばらく、夜は眠れず、風で窓が揺れた音にも敏感になり、一人でいると余計に恐怖と不安に駆られ、今でもトラウマ級の思い出となっている。



今は前より落ち着きを取り戻し、夜は一人で眠れるようにもなったのだが、未だにホラー映画だけは見に行けない。



「(それと…"別の意味でも"驚き過ぎて、一瞬マフラーを握り締めそうになった…。)」



「じゃあお嬢さんの怖がる顔も知れたことだし。そろそろ行こうか」



「……はい」



慣れた様子で、颯爽と歩き始めた朱鷺宮さんの後を慌てて追う。



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