第9章 ハナコトバ
ん………。」
目覚めると、そこは自身の部屋で。
(レオナルドさんが私を運んでくれたのかな………。)
思考に浮かべつつ、ゆっくりと起き上がる。
「セバスチャンを探してこよう………。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
屋敷の中庭では。あらゆるものが眠る季節だと云うのに。
それでも西洋ではありふれた花から
珍しい花まで ありとあらゆる花々が咲き乱れている。
すべての花々が ここで花開いたことを誇るように………。
「やっぱり、すごく綺麗………。」
真白く染まる、蕾のままの薔薇に触れる。
「ふふ………。いい香り………。」
手折らずに、顔を近づけると上品さを纏った甘い匂いが鼻腔をかすめた。