第5章 おもての裏で【★】
彼女の首元に手が添えられ、引き寄せられて。
「っ………、んっ」
唇が、重なった。
キスを交わしたまま、彼女を寝台へと倒す。
林檎のように染まったおもてを、優しい眼差しが見つめていた。
「あなたに………、触れても?」
答えの代わりに、首元に腕を巻きつけた。
再び口づける。心は、既に決まっていた。
「あっ………、はぁん」
やがて艶のある吐息が 彼女の部屋に響いて。
なにも纏わない上体に、彼は舌を這わせていく。
彼女の甘い悲鳴に酔いしれながらも、セバスチャンはとある想いを思考に載せていた。
(こんな………。
あなたの優しさにすがるような真似を、許してくれますか?)
「んんっ………、セバスチャン………?」
頬に触れてくる、ちいさくても温かい掌。
「………何でもありませんよ」
微笑んで見せた。気遣うような眼差しを、胸に吸いつくことで上書きする。
「あっ………! ひぅっ………んんんっ」
途端に熱に染まった表情に代わって。
彼女の身体を撫でながら、己の下半身に血液が集まっていくのを捉えた。
劣情のせいでふわふわとする思考を抱え、己の脚衣に手を掛けた。
「っ………!」
瞬間、彼女が吐息を封じる。
いくら二度目とはいえ、彼女はまだ慣れていない。