第6章 Red Grimm【アイザック⇋主人公】
「――っ………!」
桜色の髪をした、強い心をもった人。
素直じゃなくて、口下手で。………だけど、染まらぬ真心をもった人。
(私を、呼んで…………?)
「イサラ………! 俺の声、聞こえてる?」
灰色だった視界が、瞬時に晴れ渡る。
「わ、私………どうして………? 」
ゆっくりと起き上がると ずきっ、と頭が軋んでくる。
「アンタ、林檎をかじった途端に倒れたんだよ」
「立てますか? 今日は一先ず休んでください」
セバスチャンも心配を声に載せて。
「は、はい」
アイザックは何も言わず、膝裏に手を差し込み抱き上げた。
「え!? アイザック………!」
「アンタは黙って。………まだふらふらしてるし、危なっかしいから」
「う、うん」