第6章 Red Grimm【アイザック⇋主人公】
「ただいま戻りました………、」
キッチンテーブルにそっと紙袋を置くと、ころりと林檎が転げ落ちた。
「イサラ………それは?」
ルージュの準備をしていたセバスチャンは、林檎を見て瞠目する。
「え? あぁ、林檎をおまけして貰ったんです」
「半分はアップルパイにして、もう片方は………、」
そろりと半分だけの林檎を、口に運ぶ。
「イサラ!」
彼が止めたときには。
しゃく。紅い果実をかじっていて―――。
(あ………れ?
なんだか・・・目の前が、暗、く………。)
ぱたり。その音が、どこか遠くで聞こえた気がした。