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秘め事【イケメンヴァンパイア◆SS集・裏】

第5章 君の魔法【フィンセント・本編ネタバレあり】


「フィンセント………?」


「あ………ううん。何でもないよ」

ふいに胸をかすめたのは、寂しさにも似た感情。


(あなたは、みんなに優しい人だ。

そんなあなただからこそ、俺はあなたを好きになった。

だけど………。)



俺だけに、優しかったらいいのに………。

身勝手にも、そう思っている自分がいて。



「あれ、先輩………?」

ふいに、男の声が耳をかすめた。

人当たりの良い笑みを湛え、彼女を見つめて。


「偶然ね、会社にいるとき以外はイサラでいいよ?」

彼女がその男の人に微笑いかける。



それを見て、胸に黒雲が漂いはじめた。




その手首を引いて、腕に閉じ込めた。


「彼女は………、俺と一緒だから」

上辺は穏やかだけれど、彼に厳しい視線を向けた。


「ふ、………フィンセント!」


「行こう………、イサラ」


「う、うんっ」


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