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秘め事【イケメンヴァンパイア◆SS集・裏】

第4章 片恋ワルツ【アーサーBD企画様参加SS】


「舞踏会はあまり好きじゃないのに、ね………。」

礼装に身を包み、アーサーはため息とともに呟いて。


事の発端は、遡ること数時間前。



「アーサー………、イサラのエスコートを、頼まれてくれないか」

穏やかだけれど、心が見えない微笑みを浮かべた伯爵がこう言ったのだ。


「え?」


「君なら彼女を完璧にエスコートできるだろう?」

疑問形のようで、肯定的な言い方。

そっとため息をついて、了承したのだ。



(俺が欲しいのは………、あのコ自身なのに)

だけれど、これ以上心に踏み込まれるのが怖くて彼女を避けていたんだ。


「アーサー、準備は終わった?」

控えめなノックとともに、イサラの声がした。

なんとかいつもの笑みを貼りつけて、入ってと声をかける。


「イサラ………そのカッコ、」

彼女の姿を見て、胸が痺れた。

髪を結い上げて、ドレスを纏ったイサラ。


「え?

あぁ、伯爵がドレスを贈ってくれたの。似合わないかな………。」


「そんなコトない、綺麗だよ」


普段どおりの振る舞いを見せる彼女がありがたかった。

彼女がぎゃくしゃくしていた日々のことを声に載せていたら きっと、俺は………。



「アーサー?」

ハッとして、笑みを浮かべた。


「行こう………、イサラ」

俺の手に、彼女は自分のそれを重ねた………。


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