第3章 酩酊の色【アイザック・★】
酔いが晴れてきた真夜中、うすく目を開けると。
腕の中にアンタがいるのを見止めて、ひどく自分を責めた。
そっと頬にキスをすると、ゆっくりと瞼が開いて。
「ごめん・・・俺は、酔った勢いでアンタを………。」
「謝らないで。
………たしかに最初は驚いたけど、私は・・・嫌じゃなかったんだから」
ふわりと微笑うアンタにおもてを見られたくなくて、胸に押しつけるようにきつく包み込んだ。
「アイザック………?」
「もう黙ってなよ」
ちらりと見えた耳が、朱染まっていた。
「ふふ………照れてるんだね」
「わ、笑うなっ!」
「ご、ごめんなさい。でも………なんだか、嬉しくて」
「え………?」
「あなたとこうしていられて、幸せだなって思ったの………。」
すり、と胸にくっついてくる。
「本当………、アンタって物好き」
だけどそのおもては、優しい笑みで彩られていた。
「好きだ………。アンタのこと………誰よりも」
「っ…………こんな時に素直になるなんて、ずるいよ」
「アンタも言いなよ。………俺のこと、どう思ってるのか」
答えなんてわかっているのに、そう声に載せる彼はとても意地悪だ。
「大好きよ…………。」
どちらからともなく、唇が触れる。
これから先ふたりで紡がれる時間を想って、彼女は微笑んだ………。