第7章 酔いに消された記憶〈完〉
肩に誰かの手が添えられたことで
顔をあげる
「家康…家康?ここで寝ちゃうと風邪ひくよ
褥にはいったら?」
「あ、、、寝てた…?」
「うん、ちょっとだけね
褥に行くなら手伝うよ?」
「大丈夫。葵も部屋に帰りな
結構飲んだでしょ?片づけはいいから」
立ち上がり、
褥の敷いてある部屋に歩き出したが
足がふらついたのをみて、葵が身体を支えてくれる
襖をあけて褥に近づこうとしたところで
葵が何かにつまずき、家康を押し倒す格好になる
「あっ」
「えっ」
油断していたという事もあり、
葵を支えきれず2人で褥に倒れ込んでしまう
何とか自分が下になり受け身をとることはできたが…
「いって・・・」
腕に抱かれた葵が、
がばっと顔をあげ心配そうな顔をする
「ごめん!ケガしなかった?」
「これ位でケガなんてしないよ。それより早く降りて」
抱いていた腕を降参するような仕草をする
身体の上に葵が馬乗りになっている状態はちょっとやばい
「ご、ごめんなさい。直ぐ退くから」
葵も自分の状態に驚き、慌てて上から退こうとする
が、勢いよく自分の裾を踏み、
再度、家康の上に倒れてくる
「きゃっ」
「葵!」
倒れてきた身体をまた家康が支えてやるが、
すべての勢いは消せず
お互いの唇がぶつかってとまる
「!!」
「!!」
お互いの驚いた顔が近すぎてぼやけている
最初に動いたのは家康だった。
葵を抱いたまま身体を反転させ、組み敷く
「ねぇ葵、誘ってんの?」
顔を真っ赤にさせ
自分の口に手を添えてプルプルと顔を横にふる
「その顔は誘っているとしかみえないけど?」
またプルプルとふる
ばかだなぁ
そんな顔したら余計男を喜ばせるだけなのに
「俺の唇が奪われたんだけど、どうしてくれるの?」
葵はこれでもかというくらい顔を赤くして
困った顔をしている
「ご、ごめんなさい…私…」
「謝ってすむ問題じゃないよね?」
「ど、どうすればいい?」
「じゃあ、俺が質問するから葵は答えてくれるだけいいよ」
「それで許してくれる?」
「うん」
「わかった。なんでも質問して!!」