第5章 アクシデントの活かし方(蘭丸BD)/口づけの意味02 〈完〉
~家康side~
「きゃっ」
家康が広間への廊下を歩いていた時
葵の悲鳴が聞こえてきた
「葵っ!!」
広間に飛び込むと、
葵が蘭丸に後ろから羽交い絞めにされている
それを見ると身体が勝手に動き
蘭丸から引き離していた
葵を自分の胸に抱き込みながら、蘭丸から距離をとる
「あんた何をやっている?」
「ああっまた…」
思ってもいなかった所から抗議され
腕の中をみると
葵が顔を赤らめて、困ったように家康を見ていた
「えっ?」
光秀さんの笑いを含んだ声が聞こえてくる
「お前がそれだけ大切にされているということだろう?」
「は?」
声の方を見ると、他の武将たちも座っている
「まぁ家康座れ」
信長の声に納得できないまま
自分の後ろに葵隠して座る
「よし、全員揃ったところで、蘭丸話せ」
「はい。
本日、城下で葵様が酔っ払いに絡まれ、
連れていかれそうになりました」
「なっ?!!!」
自分の顔がこわばったのが分かった
「その酔っぱらい達は、
騒ぎに気が付いた俺が追っ払いましたので
葵様には何の被害もありません。
触れられることもありませんでしたので、
ご安心ください」