第9章 体育祭
「瑠衣!私のハチマキ知らない!?」
「ここにあるけど」
「え!?…あった!」
「全く…早く校庭行こ!」
無事体調が回復して、今日は(真雪が)楽しみにしていた体育祭。
都内1広い帝光中の校庭いっぱいに青、白、赤のハチマキをした生徒がクラスごとに並ぶ。
そういえば、同じ青団の黄瀬と紫原くんにさっき廊下で会った。
眩しいくらいの笑顔で駆け寄ってきた、通常運転でワンコロな黄瀬に安心した。
最近色々あったから少し気まずくなっちゃうかと思ったけど、私の考え過ぎだったみたい。
『只今より第54回帝光中学校体育祭を行います』
アナウンスが入り、みんな緊張感が出てきたみたいだけど私は一向に緊張しない。
何でだろ…病み上がりだからテンション上がんないのかな。
後で真雪に喝入れてもらおう、そうしよう。
「1着、青団!」
「おぉー!!真雪ー!」
1番でゴールテープを切った真雪に精一杯の声援をおくる。
ニカッと笑い手を振ってきた真雪を私はこの世で1番イケメンだと思った笑
その時、後ろから私の名前を呼ぶ黄瀬の声が聞こえた。
「瑠衣っちもう走っちゃったスか!?」
「あ、黄瀬!もう終わったよ」
「えぇ!?トイレになんか行かなきゃ良かったっス…!」
しゃがみ込み泣き真似をする黄瀬をテキトーに宥めたら泣き真似が酷くなった。
つくづく黄瀬ってめんどくさい生き物だと思う。
「黄瀬が走るときは見てあげるからさー拗ねないで~」
「見てなかったらお仕置きっスからね!」
「ハイハイハイハイ」
「瑠衣っちぃ…」
いよいよ涙目になってきた黄瀬にやり過ぎたかと思ったけど、次の瞬間、黄瀬はケロッとした顔で尋ねてきた。
私の心配を返せや。
「そういや瑠衣っち何位だったんスか?」
「1位だったよ」
「さすがっスね!じゃあ俺はその上を行くッスよ!」
「え、1位の上って何?」