第16章 【番外編】*merry Christmas*
「さあ、着いたよ」
そんな言葉と共に赤司くんが優雅にドアを開けてくれた。
車の外を見ると、大きな白い豪邸が私達を出迎えてくれた。
「赤司家すごっ…」
「でけぇ…」
ポカンと見上げながら豪邸に近づいて行くと、私達を更に出迎える者があった。
「あ、峰ちんと瑠衣ちん来たー」
「何!?まだ飾り付けが終わってないのだよ!」
「緑間くん、もう辺り一面飾りだらけですけど…」
「これで充分っスよ!それよりBGMは俺の1stシングルの「やめて下さい」
「じゃあ、テツくんの1st「遠慮します」
相変わらずカオスな彼らを眺めているうちに何だか可笑しくなってきて笑いがこぼれる。
私につられたように大輝も笑い出した。
「コイツら、どこにいても変わんねーんだな」
「全くだよ。こんな豪邸にいるのに学校と同じテンションで…」
でも。
こんな騒がしいクリスマスも、これはこれで悪くないね。
そう言うと大輝は笑って肯定した。
「俺はもうちょっとお前と2人でも良かったけどな」
「え」
パッと大輝の顔を見上げると、大輝は素早く動きみんなの中に入っていってしまった。
言い逃げされた…!
せっかくレア発言が飛び出たのに!
「………まあ、いっか」
来年また聞けるかもしれないし。
クリスマスなんてガラじゃないくせに、テンションだけはちゃんと上がるんだから…。
毎年私を取り囲む状況は変わっていくけれど、毎年言う言葉は決まってる。
「じゃあみんなグラス持って!」
「何でさつきが仕切ってんだよ」
「いーじゃない別に!じゃあ瑠衣、どうぞ!」
「私!?えっと…じゃあ、来年もよろしく!」
「それは年末じゃねーか?」
「とにかく!せーのっ、」
『メリークリスマス!!』
merry Christmas!
願わくば、来年も君の傍に
*end*