第15章 帝光祭
時は過ぎ、帝光祭当日。
「いらっしゃいませー!」
私は売り子としてクラスの売り上げに貢献している。
和装喫茶の人気は上々で、もう1時間くらいお客さんが絶えない。
「ご注文をどうぞ」
「"くるみの和菓子"を2つ」
「かしこまりました」
人気の理由は多分、ていうか絶対この"くるみの和菓子"だ。
実は、うちのクラスには和菓子作りのプロがいる。
有名な和菓子屋の一人娘である、本郷くるみちゃん。
彼女直伝の和菓子が私のクラスのセールスポイントだ。
これがすっごい美味しいんだよね。
ぜひ紫原くんに食べて欲しいんだけど……おっ、噂をすれば。
「瑠衣ちん来たよー」
「いらっしゃいませー」
「瑠衣っち袴似合ってるっス!」
「フン…悪くないのだよ」
「どもども」
黄瀬、緑間くん、紫原くんがご来店。
黒子くんと大輝がいない…みんないてくれた方が良かったんだけど、仕方ない。
「ご注文は?」
「瑠衣っち♪」
「……ご・注・文・は?」
「ご、ごめん瑠衣っち!怒んないで!」
黄瀬があまりに必死に謝ってきたので怒りを静めてやる。
「くるみの和菓子3つ~」
「俺はいらないのだよ」
「そんなこと言わずに食べてみてよ」
そう言うと嫌そうな顔をした緑間くん。
全く、甘いもの嫌いなら何でこの店に来るかなぁ。
まあ、来てって言ったのは私だけど。
「くるみの和菓子3つお願いしまーす」
「はーい。瑠衣ちゃん、もう交代の時間じゃない?」
「うん。あがらせてもらうね」
私は袴を脱ぎ制服に着替え、真雪に声をかけた。
「黄瀬たちにお菓子持ってってあげて」
「え?瑠衣あがるの?黄瀬君たちが帰ってからでも…」
「それじゃダメなの」
昨日、大輝と赤司くんに助けてもらってから、このままじゃ駄目だって気づいた。
私自身がちゃんと向き合わないといけない。
そのための計画を実行するには今しかない。
彼らがここにいる間に。
誰も私の行き先に来れない間に。
過去を一つ清算するんだ。