第13章 帰り道
「コンビニにもいない…公園にもいない…家に行ってもまだ帰ってない…どこ行ってんだよー!」
散々歩き回ったせいで寒かったはずなのに暑くなってきた…。
首にぐるぐるに巻いていた白いマフラーを外してスクバに詰め込む。
その時、スクバの中からある物を見つけた。
「…電話すればいいじゃん」
アホか私!歩いて探すとか原始的すぎる!
自分に呆れながら携帯を取り出し電話をかけた。
「……………出ない…」
そういえば大輝って、携帯を不携帯する奴だったっけ…。
携帯持ってる意味ないから持ち歩けってば。
どうしよう、今日はもう諦めて帰ろうかな。
でも今日言っておかないと、明日になったら言いたいこと忘れてそうだなぁ。
「あ?瑠衣?」
「え…大輝!?」
声をかけられ振り向いたら、散々探し回った彼がいた。
野生児な彼は今日も、トレーナー1枚にジーンズという風邪をひきそうな格好をしていた。
「どこにいたの?行きそうな所は全部探したのに…」
「あー…その辺の公園で寝てた」
「寝てたって…公園なんかで寝たら風邪ひく…!」
その時、大輝の顔を見た私は一瞬であることに気づいた。
きっと、大輝自身も自覚していない、大輝の側にいる人にしか分からないこと。
私は大輝の顔に両手を伸ばした。
「大輝…!」
そして、顔の両方からほっぺを潰した。
「ぶふっ!?」
「あんた…嘘ついてるでしょ!」
「あぁっ!?つーかいきなり何しやがる!」
「嘘つくと目を合わせない。大輝の癖だよ、覚えときな」
大輝が目を丸くさせる。
頬を引っ張り、ぱちんと良い音をさせて離すと、頭を掻きながら気まずそうに顔を背けた。