第1章 記憶喪失
「…ああ、そっか、やりたいんですか?私と。
やりたいんならどうぞ?」
私はクスクス笑って
彼に言ってみた。
こう言えば
絶対帰ると
わかっていた。
プライドを傷つける
酷い言い方なのは百も承知だ。
「おまえ、そんな簡単にいつも男あげてるわけ?幻滅するわ、じゃあな。」
彼がドアから離れた。
「…はいはい、すみませんね、冗談ですから!さようなら。」
そう言って大きく
ドアを閉めた。
俯きながら
大きな溜息をつくと
涙が溢れた。
「…………。」
これで本当に終わったなぁ、
そう思いながら顔を手で覆った。
「やっぱり、泣いてる。」
そう言われて誰かに
前から抱きしめられた。
「な、何!?や、やだ…」
次の瞬間に、
先程玄関前で話していたカカシだと気づいた。
彼は帰ったはずだ。
だけど、今彼は
部屋の中にいる。
あ、
瞬身の術。
ってことはさっきのは影分身…
やられた。